SABICイノベーティブプラスチックス
KISSsoft AGへの特殊コンパウンドのデータ提供により 様々な業界の金属代替を促進

KISSsoft AG社のCEOであるステファン・ベールマン博士は、「樹脂ギヤの設計における最大の障壁は、 信頼できるデータの不足でした。樹脂の特性は温度によって大きく左右されるため、金属ギヤの寸法計算 を転用するわけにいきません。今回SABICイノベーティブプラスチックスとの協力によって、大部分の 高機能コンパウンドの特性データを当社の計算ソフトウェアに取り込むことができ、ギヤ設計のプロセス を大幅に簡素化しています。当社のソフトウェアを活用することで、ケーブルカーシステムから建設機器、 F1レースカーの変速機、航空宇宙船に至るまで、顧客ニーズに合った特殊コンパウンドを迅速かつ正確に 選択し評価することができます。」とコメントしている。

樹脂ギヤのメリット

樹脂による金属代替は業界全体のトレンドであると同時に、ギヤ技術の飛躍的な向上を意味している。 樹脂ギヤは設計自由度の大幅な向上をはじめとして、従来の金属ギヤでは実現できなかった特性を数多く 備えている。例えば、機械加工の代わりに成形加工を行うことで、二次加工費用が削減できる上、新たな 形状を作り出すことができる。また、軽量な樹脂を用いることで慣性を低減しギヤ効率の改善を実現する。 さらに、樹脂ギヤの動作音は金属ギヤよりも格段に静かなため、機械の低騒音化にも貢献する。

SABICイノベーティブプラスチックスのテクニカル・マーケティング・プロダクト・スペシャリストで あるロブ・ヤンセンは、「SABICイノベーティブプラスチックスは、顧客が最高の結果を短期間で達成できる よう、素材ポートフォリオの付加価値の向上に尽力しています。KISSsoft社のような業界のエキスパートと 協力して有効なエンジニアリングデータを提供することで、当社の製品を使用したアプリケーションの設計 期間や市場投入までの期間短縮に貢献できます。LNP特殊コンパウンドに関するデータを活用したKISSsoft社 のソフトウェアを導入することで、あらゆるギヤ製品の高機能熱可塑性樹脂による代替が容易になります。」 と話している。

LNP*特殊コンパウンドによる高機能ギヤの設計

まず最初にガラス短繊維と長繊維、炭素繊維、そして様々な潤滑技術を駆使した8種の異なるベース ポリマーを使用したLNP製品の強化グレードについて検証が進められている。これらのグレードに関して、 SABICイノベーティブプラスチックスが提供するデータには無潤滑環境での弾性率、静的曲げ強度や摩耗 特性などの温度依存値が含まれる。現在両社では、これらポートフォリオの拡充に取組んでいる。

SABICイノベーティブプラスチックスのLNP特殊コンパウンドは、この他にも優れた特性を備えている。 例えば、自己潤滑性を持つLNP Lubricomp*やLNP Lubriloy*コンパウンドによるギヤ部品は、潤滑油を使用 できないようなアプリケーションに用いることができる。これは、清潔さや安全性が要求される医療業界や 食品サービス業界にとって特に重要である。その他にも、自己潤滑性コンパウンドはメンテナンス頻度の 低減によるコスト削減に貢献する上、環境保護性能にも優れている。

SABICイノベーティブプラスチックスの繊維強化コンパウンドは、耐摩耗性や耐疲労性といった耐久性能 の大幅な向上や高トルクレベルの変速機を実現する最適なソリューションである。

* SABIC Innovative Plastics IP BV の商標です。