VICTREX® PEEK™樹脂およびVICOTE®コーティング(ヴァイコート)、APTIV®フィルム(アプティブ)をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、織機用の電子制御機器を手掛ける伊ROJ Electrotex社と共同でVICTREX PEEKを原材料とするフィルム製品APTIV 1000シリーズを用いた高圧成形によるコーン部品を開発した。
今回、高圧成形法を用いて開発された円錐形状のコーン部品は、織機の横糸供給装置に組み込まれる制動機構部品である。横糸供給装置は織機とスプール(糸巻き)の間に取り付けられ、織機側の受糸装置に横糸を最適な張力で供給するための電気機械システム。これまで制動用のコーン部品にはゴム部品を取り付けた金属製コーンが利用されていたが、制動性能が不安定であることに加え、ゴム部品は使用中に機械的性能が劣化するという2つの重要な改善すべき問題を抱えていた。
ROJ社の新技術責任者であるチェザーレ・ブロヴァローネは「横糸供給装置が織機へ糸を均一に供給するには、横糸の張力を最適に調整および保持させるため安定した制動性能が欠かせません。織糸の張力は横糸供給装置内で織糸と接するAPTIVフィルム製コーンが加える圧力によって調整されます。これにより必要とされる様々な張力レベルで、より安定した張力が得られると共に不良の発生を無くすことができました。」とコメントしている。
このコーン部品は独Niebling HDVF(ニーブリング)社の高圧成形技術を用いて製造されており、APTIVフィルムの様々な優れた特性が高精度なコーンの成形に寄与している。ブロヴァローネは「安定した制動性能を実現するにはコーン形状に厳密な寸法公差を必要としたことから、製品品質の確保において、高圧成形は不可欠な技術でした。当社は今回の開発にとても満足しており、コーン部品の構造はもとより、これら用途におけるAPTIVフィルムの使用に関しても特許を申請する予定です。」と話している。
今回ROJ社は求められる張力および横糸の特性に応じて、厚みの異なる3種類のAPTIVフィルム(150、250および500μm)を採用した。既にROJ社では数千個のAPTIVフィルム製コーン部品を製造および試験評価しており、年間販売数1万個を見込んでいる。
APTIVフィルムは原材料であるVICTREX PEEKが有している高耐熱性、高機械強度、耐薬品性、電気絶縁性、耐摩耗性、高純度、耐放射線性、低吸湿性といった全ての特性を兼ね備え、多目的に利用可能な高機能フィルム製品である。APTIVフィルムはシステムコストの低減や製品品質の向上に加え、設計自由度の向上や優れた加工性によって顧客製品の差別化に貢献する。
ビクトレックスジャパンは10月25日から幕張メッセで開催される「国際プラスチックフェア2011(同社ブース:41113)」に出展し、国内海外での採用事例を展示紹介する。
RoJ Electrotex社について:
RoJ Electrotex社は200名を超える従業員を擁し、織機に関する様々な研究開発、製造、販売および顧客サポートを行い、織機用の自動張度制御機をはじめとした多岐にわたる製品を手掛けている。
Niebling HDVF社について:
1989年に創業されたNiebling HDVF社は高圧成形技術の開発者であり、高度に洗練された成形機および周辺工具や金型などを全世界の諸産業に供給しており、フィルム素材の加工に関して多くのノウハウを有している。www.niebling-junior.com