耐薬品性および耐熱性が求められるネジ式接続部品の金属を代替
2011年3月10日 – VICTREX® PEEK™樹脂およびVICOTE®コーティング(ヴァイコート)、APTIV®フィルム(アプティブ)をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、フローメータに関する装置およびソリューションを提供する英タイタン社(Titan Enterprises Ltd)が高精度で低コストな超音波フローメータ(流量計)「ATRATO」の開発に際し、フローメータとフローパイプ(配管)を連結するネジ式接続部品にビクトレックス社の高機能熱可塑性樹脂VICTREX® PEEK™を採用したことを明らかにした。
タイタン社は英国内で流体工学に関する有力な研究機関の1つに数えられるクランフィールド大学と共同でこの革新的な新製品の開発を進めると共に、ビクトレックス社と密接に連携し耐薬品性、成形性や加工条件など材料選定に関して十分な考慮を重ねてきた。
高精度でコスト効率に優れる流量測定は、製薬、生産工学、飲食料品といった多くの産業でますます重要性を増している。ATRATOフローメータはタイタン社の特許技術を活用することで、層流(整然とした流れ)から乱流(不規則な流れ)までを計測可能なメータとなっている。この装置は計測に「TOF(Time of Flight)方式」を採用しており、これは2つのセンサ間を流体が通過する時間から流量を測定するものである。これまで同技術は高価で正確性にバラツキがあると考えられていたが、タイタン社では完全な対称および同心構造を持ち希望のタイミング精度を実現可能なATRATOは、小口径フローメータにおいて画期的な製品になると期待している。
ATRATOはフローメータ本体とフローパイプとの接続に、外径にネジを切ったパイプ状の接続部品が用いられている。タイタン社ではこのネジ式接続部品に従来の金属に代えて樹脂の採用を検討、優れた耐薬品性と最高130oCの高温環境下でも動作可能な高耐熱性を有する樹脂材料を必要としていた。また同フローメータは飲料ディスペンス用途に使用されるため、FDA(米食品医薬品局)の認可材料である必要があり、加えて医療および製薬用途への適用に当たっては樹脂材料の低吸水率が必須条件とされていた。様々な樹脂材料を検討した結果、同社の厳しい要求を満たすことからVICTREX PEEKの採用が決定したものである。ほとんどのVICTREX PEEK製品は食品接触用途で繰り返し使用しても安全であり、FDAや欧州委員会といった政府による規制に加え、REACHやRoHSなどの業界団体の規定にも準拠している。
タイタン社の創設者でマネージング・ディレクターを務めるトレバー・フォースターは「私は40年以上にわたりフローメータの設計を手掛けてきましたが、今回このATRATOを商品化できたことを非常に嬉しく思います。私は、従来型の流量計測業界において、これが真に競争力のある製品になると確信しています。」と話しており、加えて「この次世代型フローメータの開発に当たり、私たちの最重要課題は材料の選定でした。私たちはビクトレックス社と緊密な連携を取ることで、非常に貴重なアドバイスを得ることができ、当社が求めていた以上の性能を発揮する材料を提供して頂くことができました。ATRATOの開発に用いた技術は、当社がフローメータ製品群を拡大する上での基盤となります。」とコメントしている。
ビクトレックス社の市場開発マネージャーで英国およびアイルランドを担当するデイブ・アドキンは「優れた物理的および化学的特性を発揮するVICTREX PEEKは、タイタン社の革新的なATRATOフローメータに理想的な材料です。」としており、また「ビクトレックス社は、顧客の要望に合わせて高機能VICTREX PEEK製品を最適化できるという強みがあります。タイタン社のような企業との作業で用途開発を推進するためには、エンドユーザの視点から彼らの開発要件を十分に理解することが何よりも重要と考えています。」と話している。
タイタン社について:
フローメータに関する装置およびソリューションを手掛けるタイタン社は1981年に英国ドーセットのシャーボーンで設立された。同社は40年以上の経験を持ち、その独自の製品は世界40カ国の顧客に供給されている。医療、工業、食品および飲料、研究機関や製薬といった様々な産業分野における流体の低流量測定に対する需要の高まりによって同社の生産は成長を続けている。