2011年2月14日 – VICTREX® PEEK™樹脂およびVICOTE®(ヴァイコート)コーティング、APTIV®(アプティブ)フィルムをはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社(社長:アンドリュー・ストーム、本社:東京都港区)は、厚膜ヒーター製品を手掛ける米Datec Coating(デイテック)社が、アルミニウム基板を用いた高出力な厚膜ヒーターの開発に当たり、発熱機構回りの絶縁コーティング材料にビクトレックス社のVICOTEコーティングを採用したことを明らかにした。
厚膜ヒーターは、ペースト状の厚膜材料を用いて金属基板上に導電回路を印刷し、これに通電し発熱させるもので、一般的な発熱機構に比べ構成部品の点数を大幅に削減できる。さらに面状に均一な発熱が得られると共に目的温度までの昇温時間が短いという特徴を持っている。
Datec社の厚膜ヒーター機構はアルミニウムの基板上へ導電層および抵抗層を直接スクリーン印刷する方法が採られている。このためアルミニウム基板と回路を電気的に絶縁し、尚且つ高い熱伝導率を発揮するコーティングが求められていた。同社で評価試験を実施した様々なコーティング材料の中でVICOTEコーティングのみが、同社の要求する耐熱性と電気特性を満たすことができた。基板にアルミニウムを用いることでヒーターの軽量化を実現すると共に、アルミニウムの優れた熱伝導性によって対象物に対してより多くの熱を効率的に供給できる。同社の製造技術はUL認証およびRoHS指令に対応しており、高速作動が求められる薄型ヒーターに適用することで、ヘアアイロンなどの家電製品から産業用途に至る幅広いヒーター製品において、高い熱伝導性と温度応答性といった機能性の向上に貢献する。
Datec社のCEOであるドミニク・タラーラは「当社技術の革新的な点は、当社の特許技術である導電性および抵抗性材料とVICOTEコーティングの組合せにあります。VICOTEコーティングは他部品との結合において優れたバインダー(結合剤)として機能し基板との強固な接着力を発揮するだけでなく優れた絶縁耐力を発揮します。また、この層構造によって熱膨張による発熱層と基板の不整合を吸収することができます。」と話している。
VICOTEコーティングは最高性能を発揮する熱可塑性材料として知られるVICTREX PEEK樹脂を主成分に用いている。VICOTEコーティングは結晶構造を持ち、特に高温環境下で長期間使用される部品において卓越した耐引っかき性や耐摩耗性、高強度や高耐久性を発揮する。またVICOTEコーティングは優れた誘電特性を示すため、ホットスポット(熱集中)が無く、高速加熱および高エネルギー密度で均一な温度分布を確保できる。この結果、より速くより正確な作動サイクルに加え、約20%のエネルギー消費量低減にも貢献している。
「当社技術のもう一つの重要な側面は低温処理が可能な点であり、ガラスフリット(粉末ガラス)を用いた厚膜を処理する工程で求められる850°Cよりも大幅に低い約400°Cの温度環境で加工できます。この技術によってアルミニウム基板の利用が可能となり、さらに基板素材の選択肢が広がる上、製造コストの低減にも貢献します。」としており、加えて「我々の知る限り、現在当社はアルミニウムを用いた高性能な厚膜ヒーター技術を提供できる唯一の企業です。Datec社は家電製品、医療、半導体、航空宇宙、自動車用ヒーターといった様々な市場に向けた次世代製品の開発をサポートします。」とタラーラはコメントしている。
Datec Coating社について:
カナダ、オンタリオ州ミシソーガに本拠を置くDatec Coating社は革新的なハイテク素材を手掛けており、独自のヒーティング・ソリューションおよび高機能製品に向けたコーティング技術を提供している。Datec社は製品コンセプトの開発から設計や製造において、顧客およびパートナーとの真のパートナーシップ構築を経営理念としている。
www.dateccoating.com