英ビクトレックス社、要求の厳しい摺動用途に向けた 新規高摺動グレード「VICTREX® WG™102」を発表

信頼性向上、長寿命化、軽量化ニーズおよびトータルコスト削減に貢献

Victrex_victrexVICTREX® PEEK™樹脂、VICOTER(ヴァイコート)コーティング、APTIVR(アプティブ)フィルムをはじめとする高機能性材料を製造・販売する英国ビクトレックス社(社長:デビット・ハメル、本社:英国ランカシャー州)は、高摺動グレードであるVICTREX WG™シリーズの新製品「VICTREX WG102」を発表した。ポリアリルエーテルケトン(PAEK)類のVICTREX PEEKをベース樹脂とするVICTREX WG102は、自動車や産業設備業界において、より過酷な摺動用途に対する要求条件を満たし、エンジニアやOEMメーカーによる信頼性の向上や故障率の低減およびエネルギー効率の向上といった要望に応えるため開発された製品である。
また同社日本法人のビクトレックスジャパン株式会社では、12月1から3日まで幕張メッセで開催の「セミコン・ジャパン展(ブースNo.:8A-401)」に出展しVICTREX WG102を紹介する。

ビクトレックス社のプロダクト・マネージャーであるフィル・フリッチャードは「VICTREX WGシリーズの開発に当たっての私たちの目標は、金属、ポリイミド(PI)やポリアミドイミド(PAI)で作られた部品と比べて、耐用年数が長く軽量な部品を低コストで生産可能にすることでした。VICTREX WGはPIやPAIと比べ、優れた耐摩耗性を持つと共に摩擦係数が抑えられています。新しいVICTREX WG102は高強度および高剛性が必要で、高温環境下において使用される摺動用途に理想的な選択肢と言えます。またPIやPAIと比べ25-75%低摩耗であると共に、非常に低レベルの摩擦係数を安定して実現します。VICTREX WG102は高温および薬品環境において高速/高荷重条件下で使用される用途に最適です。」と話している。

VICTREX WG102は卓越した高耐熱性を持ち、300°Cを超える温度環境においても優れた寸法および熱安定性を発揮する。また様々な化学薬品に対する優れた耐薬品性を持ち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有していない。フリッチャードは「耐摩耗性に関して言えば、PIやPAIに比べ50%低い摩擦係数を持つVICTREX WGは摩擦熱が低く抑えられ、VICTREX WGを用いた部品は広範な圧力および速度条件においてPIやPAI摺動グレードよりも異常発熱することなく長時間の運転が可能です。顧客からフィードバックされた様々な摩耗条件での広範な摺動試験によれば、VICTREX WGが高信頼性や長寿命を提供すると共に、過酷な環境下で動作するコンポーネントの故障リスク低減に貢献し、速度と圧力に関する動作環境範囲を拡大できることが分かります。」と話している。

さらにVICTREX WGは、圧縮荷重に対してもPIやPAIより優れた特性を発揮する。通常、耐摩耗性が要求されるアプリケーションには圧縮荷重がかかり、過度の荷重は寸法変化をもたらすクリープ変形を引き起こす。「VICTREX WGは高温環境下における機械物性および広い温度範囲にわたり物性の保持率が高いことから、エンジニアはVICTREX WG102を用いることで他の材料で作られた同形状の部品よりも高荷重に対応する部品を設計することができます。」

VICTREX WGはVICTREX PEEKの適用範囲を樹脂一体および複合材ブッシング、真空ポンプのベーン・チップなど新たな用途分野に拡大する。「VICTREX WGを用いたスラストワッシャー、ブッシングやシールリングの利点として、薄肉で複雑形状の部品が設計可能な卓越した流動性があげられます。小型化された部品はプラスチック部品を通して摩擦熱を相手金属材や潤滑剤へ効率良く逃がすことにもつながります。」

WG102は優れた摺動特性や機械物性を有し、金属と比較して低密度で、標準の射出成形機で加工が可能であると共に二次加工が不要なことから加工コストの低減や軽量化に貢献する。「従来製品のVICTREX PEEK 450FC30は、多くの摺動用途向けグレードとして供給を続けると共に、VICTREX WGは、より過酷な摺動用途や環境に向けたソリューションを提供します。VICTREX WGは他のビクトレックス製品と同様の加工技術および温度での加工が可能なため、金属、PIやPAI摺動グレードと比べ製造時間の短縮や製造のトータルコストの低減に貢献します。」