日本・東京、2021年9月1日 – 化学業界のグローバル・リーダーであるSABICは、同社が取り組みを進める循環型ソリューションのTRUCIRCLE™ポートフォリオとして、メカニカルリサイクルされた成分を含む同社初の自動車向けグレード3製品を本日発表した。このたび発表された新たな樹脂製品は、高流動性や低アウトガス性を備えたタルク充填ポリプロピレン(PP)の「SABIC® T2E-3320EH PPコンパウンド」、ポリカーボネート(PC)とポリエチレンテレフタレート(PET)のブレンドでUV安定性を備えたフィラー未充填の「XENOY™ (ゼノイ)T2NX2500UV」、同じくPC/PETブレンドでミネラル(鉱物系フィラー)を充填した「XENOY T2NX5230」の3種である。これら3製品は、いずれも最大29%のリサイクル材を含有しながらも、従来のバージン樹脂と同等の優れた性能を発揮するため、持続可能性の目標達成に取り組む自動車業界の顧客にとって新たな選択肢となる。
SABICのETPおよびマーケットソリューション担当ゼネラルマネージャーを務めるAbdullah Al-Otaibiは、「この新しいTRUCIRCLE材料は、使用済み製品を利用することでプラスチックの材料としての寿命を延ばし、新たな価値を付与することで、自動車産業の持続可能性への取り組みを支援します。」と話している。また、「これらの新製品は、メカニカルリサイクルされた成分を含むSABIC初の樹脂製品であり、自動車の内外装用途での使用が想定されています。さらに、これらの新製品は、SABICでも開発を進めているバイオベース素材から作られた認証済みの再生可能樹脂といった持続可能性を備えた他の素材を補完するものです。こうした真の循環型経済に向けた取り組みは、SABICの企業戦略の一環です。」と付言している。
カーボンフットプリントの削減
SABICは、これら3グレードの発売によって、自動車分野におけるさまざまな新しい用途をサポートする。
SABICのT2E-3320EH PPコンパウンドは、剛性、低アウトガス性、高耐熱性を特徴としており、インストルメントパネルの内部に搭載される暖房/換気/空調(HVAC)部品や内装、エンジン回り部品に適している。このT2E-3320EH PPコンパウンドは、25%のリサイクルPPを含有することから、同性能のバージンPPコンパウンドと比較してカーボンフットプリントを最大24%削減できることが、同社のライフサイクルアセスメント(LCA)によって示されている。
SABICのXENOY T2NX2500UV樹脂は、21%のリサイクルPETを含有している。このXENOY T2NX2500UV樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、低収縮性に優れ、塗装される外装ボディパネル、スポイラー、燃料給油ドア、トリムなどに適している。また本グレードはUV安定性を備えているため、未塗装品への使用も可能である。SABICの同社LCAデータでは、XENOY T2NX2500UV樹脂と同性能のバージン材料を比較した場合、地球温暖化係数(GWP)を11%、累積エネルギー需要量(CED)を12%、それぞれ低減することが示されている。もう一つのPC/PETブレンドであるXENOY T2NX5230樹脂は、ミネラル強化材を16%、リサイクルPETを29%含有している。このミネラル強化グレードは、フィラー未充填のXENOY T2NX2500UV樹脂と同様、塗装されるボディパネルやトリムなどの部品に適した特性を備えている。XENOY T2NX5230は強化材が充填されていることで、XENOY T2NX2500UVと比べ高い剛性と低い線膨張係数(CLTE)を実現していることから、ルーフスポイラーや外装トリムなどに適している。また、どちらのXENOY製品グレードも高流動性を備えているため、サイクルタイムの向上が期待できる。
SABICのTRUCIRCLE製品は、メカニカルリサイクル材料、使用済みプラスチックのケミカルリサイクルによる認証済み循環型樹脂製品、およびバイオベース原料を用いた認証済み再生可能ポリマーで構成されている。詳しくはこちらを参照。