日本・東京、2017年6月26日 – コンデンサーはさまざまな電気製品に搭載され、電子・電気用途において幅広く利用されている。また同分野においては、高温環境下においても長時間にわたって、電流漏れや電荷減少を生じさせることなく、大量の電気エネルギーを蓄えることが可能な、軽量でコンパクトな高エネルギー密度コンデンサーが求められている。こうした市場ニーズに応えるためSABICでは、同社のポリエーテルイミド(PEI)樹脂を用いた新しいフィルム製品としてULTEM™ film UTF120を発表した。
ULTEM™ film UTF120は、エネルギー密度が高く、高温特性に優れたフィルム製品である。本製品は、樹脂フィルムを誘電体に用いたフィルムコンデンサー用途で求められる、高度な技術要件に適合する。
ULTEM™ film UTF120は温度特性(-40ºC~150ºC)と周波数特性に優れ、絶縁抵抗が高く、静電容量や高誘電率(Dk) および低誘電正接(Df)において安定した特性を発揮する。ULTEM™ film UTF120を用いたコンデンサーは、広い動作温度範囲で信頼性が向上するとともに、コンバータ用途における強制冷却の必要性を低減または不要にすることができる。
SABICスペシャリティー事業部で高機能フォームディレクターを務める蔡耀銘博士は、「ULTEM™ film UTF120の商業化によって、SABICは高耐熱フィルムコンデンサー市場への参入を果たしました。強制冷却が不要になることで、よりシンプルで、より柔軟な電気自動車用システム設計を顧客に提供することができます。これは誘電体フィルムの次世代製品の開発に向けた足掛かりとなり、さまざまなアプリケーションにおける極薄フィルムの応用展開が期待されます。」とコメントしている。
ULTEM™ film UTF120は金属密着性に優れ、高温環境下においても寸法安定性と機械的安定性を維持し、難燃剤を付与することなく難燃性を備えた製品である。ULTEM™ film UTF120を用いたコンデンサーは、業界の標準的なリフローはんだ付(260ºC)に対応する。
本製品は金属蒸着、コンデンサ巻取、扁平化プレスなどの加工が可能で、既存設備が利用できる上、へビーエッジ、分割電極を含めた各種金属電極への適用性も検証されている。
ULTEM™ film UTF120は、自動車部品におけるDC/DCコンバータ、電動コンプレッサやHIDランプ、電子機器におけるLED照明、液晶バックライトのほか、公共交通機関や再生可能エネルギーシステムにおけるフィルムコンデンサー用途への応用が期待されている。