2012年11月19日 – SABICのイノベーティブプラスチックス事業は、三菱自動車工業株式会社(以下、三菱自動車)が同社の北米製コンパクトSUV「アウトランダースポーツ2013年モデル」(日本名:RVR)のフロントフェンダーにSABICの次世代NORYL GTX™989樹脂を採用したことを明らかにした。同車のフェンダーはNORYL GTX樹脂を採用して、業界初の樹脂フェンダー2個取り射出成形を実現し、三菱自動車に成形サイクルの半減と金型コストの削減を可能にした。さらにSABICの材料は、従来の鋼板材料と比べた重量軽減による燃費の向上、環境性能の向上、そして歩行者頭部衝撃吸収ブラケットを一体化した北米初のフェンダーを実現する設計自由度の面でも大きく貢献している。三菱自動車による量産フェンダーへのNORYL GTX 989樹脂の採用は、自動車業界におけるNORYL?樹脂およびNORYL GTX樹脂技術の利用価値の高まりに加え、お客様に対する多様な製造工程および環境性能ニーズに対応するソリューションとしての重要性を示すものである。
ミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカ・インク、資材担当上級副社長である告野昌樹氏は「アウトランダースポーツの非常に優れたフロントフェンダーは、当社とSABICとの密接な関係と継続的な協働によって生み出されました。アウトランダースポーツが製品寿命に渡ってあらゆる面でお客様の期待を超え、そして満足を提供し続けるため、SABICと当社は今後も取り組み続けてまいります。」とコメントした。
イノベーティブプラスチックス、自動車マーケティングディレクターのV. ウママヘスワランは「三菱自動車はNORYL GTX樹脂の新グレードを採用頂いた最初の自動車メーカーです。熱可塑性樹脂製フェンダーの性能面とコスト面における利点を大いに活用されていることは、三菱自動車が新しい戦略を持つ先進的な企業であることを物語っています。NORYL GTX 989樹脂の強化された性能と2個取り射出成形による効率性とスピードの組み合わせにより、三菱自動車は自動車フェンダーの革新に大きな一歩を踏み出しました。」とコメントした。
サイクルタイムの削減と性能の強化
三菱自動車はアウトランダースポーツのフロントフェンダーに、左右両方のフェンダー部品を一度に成形可能な2個取り射出成形を採用することで、サイクルタイムを大幅に短縮している。加えて、2つの個別の金型ではなく1つの金型で左右のフェンダーを成形可能なため、初期投資コストの大幅な削減を実現した。
NORYL GTX 989樹脂を初めて自動車ボディーパネルに採用した今回の用途には、ポリアミド(PA)と変性ポリフェニレンエーテル(PPE)の導電性ポリマーアロイである本材料の向上した機械特性が活かされている。NORYL GTX 989樹脂は、従来グレードと比べて耐熱性が10°C向上しているため、高温環境下でのオンライン塗装に適している。また次世代NORYL GTX 98X樹脂シリーズは、線熱膨張係数(CLTE)が従来グレード比で10%低く抑えられていることで寸法安定性が向上し、隣り合うパネルとの面差や隙の管理が容易になると共に、大型で高精度なボディーパネルの設計が可能となる。
三菱自動車はこの設計自由度を大いに活用することで、歩行者保護性能を向上するエネルギー吸収ブラケットをフェンダーに一体化している。この有効性を検証した結果では、NORYL GTX樹脂製フェンダーの頭部傷害基準(HIC)値が同等の鋼板製フェンダーと比べ25%低いことが示されている。
アウトランダースポーツのフェンダーを鋼板からNORYL GTX樹脂へ置き換えることで、車体重量が3kg軽減している。この重量軽減効果は、最近米国で発表された米国燃費規制が自動車メーカーに課すマイレージ要件を実質的に2倍にするものであることからも、特に重要となる。
環境性能に関するコンサルティング会社GreenOrderにより検証されたSABICの環境製品スコアカードによると、鋼板と比較し、Noryl GTX 989樹脂を採用したボディーパネルは、車両の製品寿命に渡り、フェンダー片面当たりのエネルギー消費を45%、二酸化炭素(CO2)排出量を47%それぞれ削減可能との結果が示されている。
新しいNORYL GTX 989樹脂は全世界で入手可能である。
SABICのNORYL GTX樹脂に関する詳細は www.sabic-ip.com をご覧ください。
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