2011年8月25日 – SABICイノベーティブプラスチックス(以下SABIC)のXenoy iQ*樹脂(ゼノイ・アイキュー/使用済みPETを再生したPBT樹脂)が、フォード社(以下フォード)の2011年型C-MAX多目的乗用車(MPV)の歩行者保護システムに採用され、これによりフォードは、独立自動車安全性検査機関Euro NCAP(ヨーロッパ新車評価プログラム)から最も安全性の高い車に贈られる5つ星の評価を獲得した。
C-MAXの歩行者保護システムは、SABICのXenoy iQ樹脂を採用した画期的な下肢プロテクター/アンダートレイ設計を特徴としている。Xenoy iQ樹脂はその特徴的な物性により、フォードC-MAXの歩行者保護システムに最適の素材であった。Xenoy iQ樹脂の優れた延性と耐衝撃性に部品設計を組み合わせることで、高度な下肢への衝撃保護に必要なエネルギー吸収を実現することができた。またXenoy iQ樹脂は、熱可塑性樹脂の特性を極めて少ない二酸化炭素排出量で実現することで、フォードの環境に対する取り組みに適合している。今回のXenoy iQ樹脂の採用は、SABICが環境に対する責任と卓越した性能を、いかに同時に実現するかを示すものである。
「当社は、衝突試験で最高の評価を獲得するためのフォードの現在の取り組みを高く評価しており、Euro NCAPがC-MAXモデルの高い信頼性と安全性を認識したことを歓迎します。」と、Innovative PlasticsのV.ウママヘスワラン自動車部門製品マーケティング担当ディレクターはコメントする。「歩行者保護については、自動車OEMと自動車業界、社会が全体としてこれまで以上に注目しています。その結果、全世界で、新しくこれまで以上に厳しい基準に移行しつつあります。SABICはこのトレンドに早くから着目しており、現行の規準を満たし、あるいは新しい規準に先行できるようなエネルギー吸収技術を提供することで、自動車OEMを支援する準備ができています。」
歩行者保護の推進
Euro NCAPは2000年代初めに、衝突時の歩行者保護のレベルについての車両評価を開始した。Euro NCAPの試験担当者は様々な事故シナリオでの成人または子供の頭部および脚部の傷害を最小限に抑えるため、各車両がどのように設計されているかを評価している。
フォードC-MAXの下肢プロテクター/アンダートレイ構造は、車両前面でのエネルギー管理と、歩行者がバンパーに衝突した際に下肢の動きを制御する弾力性を、バランスよく実現する。世界有数の大手自動車部品サプライヤー、Faurecia社は、フォードと協同して歩行者保護システムの設計と最適化を行った。
「Xenoy iQ樹脂の卓越したエネルギー吸収特性により、このシステムの設計と性能を向上させることができました。」とFaurecia社自動車外装事業部のジョルディ・マルチネス・アンドリュー技術マネージャーはコメントする。「Xenoy iQ樹脂により、様々な要件を満たすと同時に、環境に優しい特性を持った、軽量で高強度のソリューションを実現できました。SABICとの取り組みで、フォードのEuro NCAP試験5つ星評価獲得に貢献できて、大変うれしく思います。」
高い強度と軽量性、卓越した延性をこのように同時に実現することは、ガラス繊維やタルクなどを配合した他の材料では困難である。Xenoy iQ樹脂を使用するもう一つの利点は、路上の異物によるチッピングに対する耐久性である。さらにXenoy iQ樹脂は高流動で反りが小さく、成形加工が容易であることから、インタークーラー向けに効果的に配置された吸気チャンネルを統合した、大型で複雑な構造の部品を射出成形で実現することが可能になった。
環境への影響を最小限に
安全性を高める固有のエネルギー吸収特性に加え、Xenoy iQ樹脂は環境への負荷を軽減し、フォードC-MAXの車両全体としての二酸化炭素排出量削減に貢献している。
使用済みプラスチック廃棄物のリサイクル率が最大60%のXenoy iQ樹脂は、埋立て処分の負担を軽減するだけでなく、製造工程で必要な炭化水素ベースの燃料も削減する。実際にXenoy iQ樹脂の製造工程での化石燃料使用量は、現在市場にある熱可塑性エンプラ樹脂より55%から75%少なく、二酸化炭素排出量も同程度低減できる。
SABICのXenoy iQ樹脂の詳細については、www.sabic-ip.comをご覧ください。製品の技術関連のお問い合わせに関しては、次のサイトからご連絡ください。www.sabic-ip.com/prtechinquiry
* SABICイノベーティブプラスチックスIP BVの商標です。