2011年5月10日 – SABICイノベーティブプラスチックスは、Extem*(非晶性熱可塑性ポリイミド・TPI)樹脂の新製品としてUHグレードを発表した。同樹脂は、設計の柔軟性があり、長時間の超高温環境でも高い性能を発揮するという顧客の要望に応える材料である。このユニークな新グレードは、かつてない耐熱性を提供するだけでなく、薄肉成形における優れた寸法安定性は、設計に高い柔軟性を提供できる。Extem UH樹脂は、SABICイノベーションプラスチックスが継続的に投資してきた高度な熱可塑性プラスチック技術と急速に進化する顧客ニーズに確実に応えようとする企業努力の現れである。
Extem UH樹脂は、架橋ポリアミドイミド(PAI)と比べ安価なシステムコストで、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)よりも優れた機械性能、セラミックよりも柔軟な設計を提供し、自動車、航空宇宙、半導体、電気、化学などあらゆる業界において、樹脂化が難しいとされてきた用途での金属代替材料として活用できる。
「Extem UH樹脂の新グレードは、連続使用耐熱性能を要件とする顧客アプリケーションに対して画期的なソリューションを提供し、業界をリードするSABICイノベーティブプラスチックスの技術を明確に示すものです。Extem UHは、薄肉設計に耐える優れた強度と剛性を備え、かつ金属や熱硬化性樹脂よりも軽量で加工のコスト効率も高い材料であり、重要な課題を解決すべく超高性能を実現した唯一の非晶性樹脂です。」とグローバルプロダクトマーケティングリーダーのピーター・キャッツマンはコメントする。
添加剤なしでUL 746B要件の260°Cを初めて実現した熱可塑性プラスチック
Extem UH 1019樹脂は、高ガラス転移温度により、添加剤なしの熱可塑性プラスチックで初めてUL 746Bの連続使用温度定格260°Cを実現した。半結晶性材料のPEEKも同レベルの耐熱性能を備えているものの、機械特性の問題で連続使用耐熱性能には限界があった。これに対しExtem UH 1019樹脂は、その8倍の剛性と優れたクリープ特性に加え、熱膨張率も低いという特性を持つ。それらの特性により、高い寸法安定性を実現し、軽量化への可能性も開かれるため、薄肉設計や複雑な形状の成形が可能となる。
PAIの場合、架橋結合を伴うため衝撃収率に影響があるのに対し、Extem UH 1019樹脂では、シンプルでハイサイクルの射出成形と押出成形を使用でき、リサイクルも可能である。
Extem UH 1019樹脂は、さらに熱可塑性プラスチックが適さないとされた用途におけるセラミックおよび金属の代替材料としての可能性も備えている。この点においても、軽量かつ設計柔軟性に優れ、システムコストをも削減するSABICイノベーティブプラスチックスの材料が有用となる。
Extem樹脂は本質的に難燃性であるため、環境リスク物質であるハロゲン化添加物を使用する必要がなく、規制準拠の問題もない。
同樹脂の用途としては、絶縁用途のワイヤーやケーブル、高性能コネクタとアクセサリ、半導体プラズマ炉用部品と撮像システム、耐熱フィルム、ベアリングケージ、歯車、薄膜、ストックシェイプ、合成部品などが挙げられる。
SABICイノベーティブ プラスチックスのExtem樹脂の詳細については、www.sabic-ip.comをご覧下さい。製品の技術関連のお問い合わせに関しては、次のサイトからご連絡ください。www.sabic-ip.com/prtechinquiry.
* SABICイノベーティブプラスチックスIP BVの商標です。