2011年1月11日 – SABICイノベーティブプラスチックスは、添加材を充填せずに業界最高クラスの連続使用温度を発揮する無充填熱可塑性樹脂「Extem* UP(エクステム)」を発表した。最新の難燃性Extem UP熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂は、UL746Bの相対温度指数(RTI)で240°Cを実現した超高耐熱性素材である。SABICイノベーティブプラスチックスは、超高機能Extem樹脂技術とポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂とを組み合わせることにより、両材料の長所を生かした機能性を実現した。この独自のブレンド技術は素材の軽量化に加え、半導体チップトレイ、過酷な環境下で使用されるコネクタ、さらには石油・ガス産業や航空宇宙産業における金属代替といった高温環境下で連続的に使用される用途に新たな素材の選択肢を提供するものである。この画期的な新技術は、最高の機能性を求める顧客ニーズに応える特殊樹脂を積極的に開発する、SABICイノベーティブプラスチックスの姿勢や取り組みを改めて実証するものである。
SABICイノベーティブプラスチックスのグローバル・プロダクト・マーケティング・リーダーであるピーター・キャッツマンは「Extem UP樹脂は、それ自体が重要な技術的革新であることは言うまでもありませんが、さらに重要なのは、この樹脂が高温環境での長期的な使用に耐えられる高機能熱可塑性素材として新たな用途の開拓に貢献する点です。Extem UP樹脂は、成形性や高コストといった難点を抱える金属やセラミック、熱硬化性樹脂に代わる新しい選択肢となります。SABICイノベーティブプラスチックスは、Extem UP樹脂技術によって、優れた特性をバランス良く発揮すると共に、高温環境での連続使用に耐えうる樹脂技術に対する市場ニーズに応えます。」と述べた。
広範にわたる優れた機能性
Extem UP樹脂は、結晶性PEEK樹脂の最大の特長である優れた耐薬品性や耐摩耗性、高流動性と、ガラス転移温度の高い非晶性樹脂が持つ高温環境下における機械的強度や剛性、寸法安定性や耐クリープ性といった利点を兼ね備えている。同樹脂はUL746B規格のRTIで240°Cを示し、一定の機械的および電気的特性を同温度で10年以上維持することができる。
その他の機能特性としては、200°C環境において無充填PEEKの最大5倍の曲げ強度や剛性を発揮する上、熱膨張係数(CTE)も無充填PEEKに比べ30%向上し寸法安定性に優れる。こうした機能特性により、部品の設計自由度や効率の向上が図れるだけでなく、薄肉形状でも強度や剛性が向上するため軽量化やコスト低減に貢献する。また高精度が求められる用途においても厳格な寸法管理が可能である。
現在、Extem UP樹脂は、無充填グレードのみを販売しているが、ガラス繊維やミネラル、炭素繊維などを充填したグレードや潤滑グレードなども開発中である。また同素材は、射出成形や押出成形などに適している。主な用途としては、半導体部品(シールやピックアップシステム)、電子部品(コネクタ、ワイヤーやケーブル)、工業部品(軸受、ギヤやブッシング)、輸送用コンポジットおよびコネクタなどがあげられる。
Extem製品ポートフォリオの拡大
Extem UP樹脂が追加されたことによりExtemの製品ラインは、鉛フリーはんだが使用されるプリント回路基板の組み立てに適した短期的な耐熱性を発揮するExtem XHとExtem UH樹脂を含めた3つのグレードに拡大された。今後、さらに製品ポートフォリオを拡大していく予定である。
SABICイノベーティブプラスチックスのExtem樹脂ポートフォリオの詳細については、www.sabic-ip.comへアクセスして下さい。
* SABIC Innovative Plastics IP BVの商標です。