- クラリアントは、Hydrogen Utility社とCasale社が共同で開発を進めるオーストラリアの大規模グリーンアンモニアプロジェクトにAmoMax-Casaleアンモニア合成触媒を供給
- 次世代触媒が、収率の最大化と運転コストの最小化に寄与
- 2つのグリーンアンモニアプラントで、従来の標準的なアンモニアプラントと比べて年間約10万トンのCO2排出量を削減
- グリーンアンモニアの水素キャリアとしての利用は、エネルギー需要が高く再生可能エネルギー源が限られる地域にとって、将来的に有望な水素供給の輸送手段
スイス・ムッテンツ、2022年4月7日 – クラリアントは、革新的なアンモニア合成触媒「AmoMax-Casale」が、オーストラリアの画期的な大規模グリーンアンモニアプロジェクトに採用されたことを明らかにしました。このプロジェクトは、オーストラリアの大手グリーン水素インフラ開発企業であるHydrogen Utility(H2U)社と、スイスのエンジニアリング大手でアンモニア合成技術のライセンサーであるCasale(カサレ)社によって共同開発が進められているものです。本プロジェクトは、南オーストラリア州にあるH2U社のEyre Peninsula Gateway™(エアー半島ゲートウェイ)に2つのパイロットプラントを建設することから始まり、その後、さまざまなプラント、産業分野、地域に向けて本技術を展開していく計画です。このたび採用されたAmoMax-Casaleは、カサレ社のアンモニア合成ループ技術をベースに用い、グリーンアンモニア合成に最適化したカスタム触媒であり、優れた活性、安定性、エネルギー効率を特徴としています。
クラリアント触媒のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるステファン・ホイザー(Stefan Heuser)は、「クリーンエネルギーは今後ますます重要性が高まる技術です。クラリアントは、AmoMax-Casaleのような持続可能なイノベーションを通じて、化学産業の脱炭素化に全力で取り組んでまいります。受賞歴を誇る当社の触媒は、アンモニア業界における最も重要なブレイクスルーの1つであり、将来のエネルギー課題の解決に貢献するグリーンアンモニアプロジェクト推進への道を開くものと確信しています。私たちは、テクノロジーパートナーであるカサレ社と共に、H2U社の非常に意欲的なプロジェクトに参加できることをとても嬉しく思っており、共に変革を推進できることを楽しみにしています。」と話しています。
また、カサレ社のCEOであるフェデリコ・ザルディ(Federico Zardi)氏は、「世界は気候変動に正面から向き合う必要があります。私たちは、変革に伴う課題を受け止める覚悟を持ち、排出量削減さらには排出量ゼロ化によって、アンモニアと誘導体を製造する持続可能なプラントの開発に貢献してまいります。」と話しています。
クラリアントとカサレ社が共同開発したAmoMax-Casaleは、カサレ社のアンモニア合成塔での使用を目的に、業界で実績のあるウスタイトをベースとしたクラリアントのAmoMax 10触媒を進化させたカスタム触媒です。AmoMax-Casaleは、優れた耐劣化性、耐被毒性、および機械的強度を保ちながら卓越した活性を発揮します。さらに、この触媒に最適化された助触媒を組み合わせて使用することで、活性表面積を拡大すると同時に拡散特性を向上し、ウスタイトベースの基準触媒に比べて30%高い効率指数を実現しています。
この優れた活性によってAmoMax-Casaleは、リサイクル率の向上と低運転圧力での稼働が可能となり、アンモニア生産量を増加させることができます。AmoMax-Casaleによってプラント全体の効率を最適化することで、エネルギー消費量の大幅な削減に加え、運転コストの増加を抑えながら生産性の向上を図ることが可能となります。
AmoMax-Casaleは、これらの特徴を組み合わせることで、再生可能エネルギーの供給が不安定な条件下においても、安定性と信頼性の高い性能を発揮します。こうした点から、グリーンアンモニアのメーカーは、最小の運転コストで最大の収率を期待できます。
AmoMax-Casaleは、その優位性が高く評価され、スイス化学協会のザンドマイヤー賞2021と、「環境と持続可能性に最も貢献するプロセス」に贈られる名誉あるICISイノベーション賞2020を受賞しています。