- EARTH復熱式改質テクノロジーは、水蒸気メタン改質における持続可能な水素製造の画期的技術
- このドロップインソリューションは、生産業者にCO2排出量の削減を促し、エネルギー節減および生産能力向上に向けた高コスト効率な方法を提供
- 最初の商業運転では、同じ生産量において、CO2排出量、燃料消費量、圧力低下を大幅に削減
独ミュンヘン、2021年11月24日 – クラリアントは、テクニップ・エナジーズ(Technip Energies)社の革新的なテクノロジーとクラリアントの触媒に関する専門知識とのコラボレーションによって開発した復熱式改質テクノロジー「EARTH」の本格発売を開始しました。EARTHは、水素製造プロセスにおけるCO2排出量を最大20%削減可能な水蒸気メタン改質における画期的な技術です。「Enhanced Annular Reforming Tube for Hydrogen(水素用拡張環状改質チューブ)」の頭字語を取ったEARTHテクノロジーは、本格発売に先立って導入された商業用途において優れた性能を示し、新たに2つの大型契約につながりました。
クラリアント触媒のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるステファン・ホイザー(Stefan Heuser)は、新しいテクノロジーに対する緊急の必要性について次のように述べています。「炭化水素からの水素生産には、CO2排出量の削減が求められます。EARTHテクノロジーを使用することで、水蒸気改質装置のCO2排出量を大幅に削減することができます。さらにEARTHは、生産業者が持続可能性の目標達成に寄与する上、工場の生産性と効率を大きく改善します。」
テクニップ・エナジーズ社のCTO(最高技術責任者)であるスタン・クネズ(Stan Knez)は、「当社は、触媒パートナーであるクラリアントとのコラボレーションによって、EARTHを提供できることを非常に嬉しく思います。この技術は、市場が求める持続可能な水素および合成ガス製造を実現する当社BlueH2 by T.EN®ソリューションを構成するキーテクノロジーです。今後さらに優れた成果が示されることを楽しみにしています。」と話しています。
EARTHシステムは、ドロップインソリューションとして設計されており、既存および新規の改質装置チューブに対応します。本テクノロジーは、本格発売に先立ち、2019年1月からトルコのAkkim社の水素工場(HyCO)で運用が始まり非常に優秀かつ安定した性能を示しています。これまでに卓越した結果が得られており、CO2排出量が20%減少したほか、化石燃料消費量は約40%低減し、これらはすべて、従来同様の水素およびCO生産量において実現されています。
クラリアントとテクニップ・エナジーズ社では、EARTHに関してスペインのRepsol社から2件の契約を獲得しています。1番目は、スペイン、カルタヘナにある21,000 Nm3/h規模の同社水素工場への導入です。同工場は2023年2月の稼働開始を予定しており、原材料には天然ガスやH2リッチ排出ガスを含む複数のフィードソースが使用されます。2番目は、欧州にある既存水素工場のアップグレードを目的とした導入です。どちらの工場も、環境面と経済面における大きな成果が期待されています。
テクニップ・エナジーズ社が特許権を取得しているEARTHテクノロジーは、水蒸気メタン改質装置内の同心チューブ部品と、外部環状スペースに装填された構造体触媒で構成されており、熱の回収と高い変換率を同時に実現することができます。このテクノロジーは、クラリアントとテクニップ・エナジーズ社が共同で開発した新設計の構造化触媒を使用しており、低圧力損失に加えて、活性および熱伝達を最大化します。この触媒は卓越した安定性と機械的堅牢性によって、改質プロセスにおける熱的応力や機械的応力、EARTH触媒床の体積減少時においても、優れた性能を維持します。