2013年2月8日 – SABICのイノベーティブプラスチックス事業は、仏ルノーS.A.(以下ルノー社)が欧州連合によるELV指令(2000/53/EC、廃自動車指令)への対応の一環として、工場内回収部品由来(PIR)の新しいNORYL™ GTX樹脂を、フェンダーに採用したことを明らかにした。SABICとルノー社は樹脂フェンダーの開発で25年に渡る協力関係を築いており、このたびのPIRグレード採用は両社にとって新たなステップとなる。ルノー社は新たなNORYL GTX樹脂を2013年モデルのルーテシア(欧州名クリオIV)のフェンダーに採用したほか、近々発売される電気自動車ZOEにも搭載を予定している。このPIRグレードは、樹脂フェンダーに求められる品質や性能基準を充たすとともに、スチールと比べて軽量で、フェンダーのライフサイクルに渡り温室効果ガスを最大47%削減するなど、NORYL GTX樹脂の環境的な利点をさらに強化するものである。新しいNORYL GTX樹脂PIRグレードを採用した今回のルノー社の成功は、顧客の環境目標達成と最新の法規制への対応をサポートするため、材料技術の向上に取り組むSABICの姿勢を示すものである。
ルノー社は2010年にICARRE 95プロジェクトを立ち上げ、ELV指令の基準を充たす技術ソリューションの検討を開始した。ICARREはInnovative CAR REcycling +95%を意味し、廃自動車からの素材リサイクル率95%を目指す取り組みである。NORYL GTX樹脂のPIRグレード採用は、ルノー社の目標達成に向けた取り組みにおける重要なステップである。
イノベーティブプラスチックス事業の欧州自動車事業本部長、レオン・ジェイコブスは「ルノー社のビジョンと技術革新は、自動車業界が目標とする環境性能とデザイン自由度の向上を実現するため、樹脂フェンダーの採用において先導的な役割を担ってきました。」としており、加えて「ルノー社の25年以上にわたるNORYL GTX樹脂の採用は、同樹脂製の軽量なボディパネル(外板)が実用的で実証された、実現可能な材料ソリューションであることを決定的に示すものです。今後ルノー社はボディパネルをリサイクル使用したSABICの次世代材料により、自動車における技術革新のレベルを引き上げ続けることでしょう。」とコメントしている。
ルノー社による新たなリサイクル樹脂フェンダーの開発をサポートするため、SABICは成形条件の設定と検証、CAE解析によるフェンダー設計とプロセスの最適化、衝撃強度と寸法安定性などの要求特性に関する試験、オンライン塗装と部品組み付けなどの製造プロセスのサポートなど、幅広い技術サービスを提供した。
進化を続ける樹脂フェンダーの誇り高き伝統と有望な将来
ルノー社はNORYL GTX樹脂で製造した樹脂フェンダーの搭載車を、他のどの自動車メーカーよりも多く商品化している。樹脂フェンダー搭載モデルとしては、トゥインゴ、ルーテシア、カングー、セニック、メガーヌ、ラグナ、エスパス、ウィンド、モデュスなどが挙げられる。ルノー社は1985年に樹脂フェンダーの開発を開始し、1989年にルーテシア16V(欧米名クリオ16S)で初採用した。
今回のPIR材採用による成功に関連して、ルノー社はSABICと協同で、同社が廃自動車からフェンダー材を回収し、新車のフェンダー製造に再利用する、クローズドループのリサイクルシステムの開発を進めている。ルノー社では廃棄物由来(PCR)のリサイクルNORYL GTX樹脂を一部車両に使用することを目標としており、材料は既に検証段階にまで進んでいる。
NORYL GTX樹脂はポリアミド(PA)と変性ポリフェニレンエーテル(PPE)との導電性ブレンドである。
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