日本・東京、2022年1月6日 – 化学業界のグローバルリーダーであるSABICは、本日、自動車の室内で発生するBSR(バズ・軋み・ラトル、Buzz-Squeak-Rattle)ノイズの防止に寄与する、自己潤滑性に優れた「LNP™ LUBRILOY™(ルブリロイ)N2000コンパウンド」を発表した。この新しいLNPコンパウンドは、非晶性樹脂ブレンドをベースとした製品で、成形着色性と塗装性を兼ね備えている。この独自に開発した相溶化オレフィン系アロイは、シリコーンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有していない。標準的なPC/ABSをこの革新的な材料に直接置き換えることで、自動車OEMや部品サプライヤーは、成形部品間の摩擦やスティック・スリップと呼ばれる振動現象を大幅に低減し、不要なノイズを抑制または防止することができる。
SABICのLNPコンパウンド担当シニアプロダクトマネージャーであるEd Williamsは、「静かで滑らかな乗り心地は、自動車の品質と高級感を象徴するものですが、電気自動車やハイブリッド車では、エンジン駆動系からノイズが発生しないため、車内の音が際立ってしまうことがあります。SABICの新しいLNP LUBRILOY N2000コンパウンドは、軋み音などの異音の抑制に非常に高い効果を発揮し、フェルトやテープなどの補助的抑止策を必要としません。この最新の素材イノベーションによって、お客様は消費者に対してより楽しいドライブ体験を提供することができます。」と話している。
優れた低摩耗・耐摩擦性能
SABICが独自に開発したこの潤滑技術は、相溶化されたオレフィン系アロイをベースにしている。これによってLNP LUBRILOY N2000コンパウンドは、金属やプラスチックの表面に接触しながら動作する樹脂部品において、低い摩擦係数(COF)と優れた耐摩耗性能を実現する。またLNP LUBRILOY N2000コンパウンドは、VDA 230-206のBSR試験におけるリスク指標(RPN)が、通常5以上の値を示す非改質PC/ABS材料に対して、3未満であることを示している。この新素料は、ミラーハウジングやトリム、カップホルダー、ボタンガイド、冷暖房空調(HVAC)のフレームといった自動車内装部品に加えて、摩擦や摩耗の低減が求められる家電製品への適用も見込まれる。
PFOA規制への対応
2020年7月に欧州委員会は、材料に含まれるパーフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩、およびPFOA関連物質の含有量に制限を設けた[1]。PFOAは、PTFEの製造時に工業用界面活性剤として一般的に使用されており、現在サプライヤーは、PTFEを含む材料に関して、PFOAの推奨基準値(25ppb未満)を下回っていることを証明する必要がある[2]。LNP LUBRILOY N2000コンパウンドはPTFEを使用していないため、ユーザーはPTFEの含有を気にすることなく、従来の潤滑材料と同様の耐摩擦性能を引き出すことができ、またPTFEに含まれる可能性のある微量の不純物(PFOA)を排除することができる。
スタイリッシュなインテリアを演出するカラーリング
LNP LUBRILOY N2000は、黒鉛やモリブデンなどの固体潤滑剤を用いた市販のコンパウンドでは実現困難な色調での成形着色が可能であり、自動車の内装を魅力的に演出することができる。また、LNP LUBRILOY N2000は塗装性にも優れており、従来のシリコーン系材料ではシリコーンオイルによる表面欠陥が問題となっていたが、LNP LUBRILOY N2000はその問題を解決している。
さらにSABICでは、自動車デザイナーを支援するため、スタイリッシュな深みと光沢を備えた黒色の次世代高潤滑性LNP素材の開発を進めている。
この新しいLNP LUBRILOYシリーズは全世界で入手可能である。
[1] PFOAの制限に加えて、規則(EU)2019/1021の附属書を改正する2020年7月の欧州委員会規則(EU)2020/784と、規則(EC)No 1907/2006の附属書XVIIを改正する2021年8月4日の欧州委員会規則(EU)2021/1297は、材料中に存在しうるペルフルオロオクタン酸(C9-C14 PFCA)とその塩、C9-C14 PFCA関連物質の量に制限を設けた。
[2] 現在、サプライヤーは、材料中のC9-C14 PFCAとその塩の合計が基準値(25ppb未満)を下回っていることを証明する必要がある。