優れた機能性と生産性によって、製品のシーリング特性と機械的特性のさらなる向上を実現
ジョージア州アルファレッタ、2021年8月3日 – ソルベイは、キータスパイア® PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の新グレード「KT-850 SCF 30」を発表しました。KT-850 SCF 30は、精密ブレーキシステムやe-モビリティの電動ポンプ部品向けに設計された高機能性樹脂です。また本製品は、炭素繊維30%強化グレードの標準PEEK製品よりも優れたシーリング性能を提供します。
これまで炭素繊維強化グレードのPEEK製品は、タペット、ポペット、プランジャーといったABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やESC(横滑り防止装置)の部品に使用されてきました。新グレードのKT-850 SCF 30は、材料の流動性と成形部品の表面美観を向上させることで、アルミニウムをはじめとする金属材料の有用な代替候補となります。
ABS/ESCなどの精密ブレーキシステムは、電動ポンプ、ECU(電子制御装置)、車輪の制動圧を制御するバルブ、車輪の速度を測定するセンサーなどで構成されています。これらのブレーキシステムの中でも、特にプランジャー部品は、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の供給を制御しバルブの動きを操作する役割を担っており、油圧ユニットに不可欠な要素です。
摩擦係数、機械的強度、寸法公差制御、シーリング特性などの優れた特性をバランス良く兼ね備えたキータスパイア® KT-850 SCF 30は、金属製プランジャーの樹脂材料プランジャーへの置換えに最適な材料です。
ABSシステムのプランジャーといった精密部品をアルミ製部品から樹脂製部品に置換えることで、トータルコストの削減および生産性の向上が可能となります。キータスパイア® KT-850 SCF 30は、ABS/ESCのプランジャーに求められる厳しい公差要件を満たしつつ、成形において長さ約15mmの部品の充填に必要な流動性を備えています。さらにキータスパイア® KT-850 SCF 30は、従来材料よりも優れた加工性を発揮することで生産歩留を向上するとともに、表面美観の改善によって、シーリング性能と機械的性能の向上を図ることができます。
ソルベイスペシャルティポリマーズ、マテリアルズ事業でトランスポーテーション マーケティング責任者を務めるBrian Balenoは次のようにコメントしています。「炭素繊維が充填されたキータスパイア® PEEKの新たなグレードは、シーリング性能および機械的性能の改善を求めるメーカーに理想的な選択肢です。この新しいグレードはe-モビリティ市場における真のソリューションとなります。ブレーキシステムに向けた当社の高性能製品ラインに、この製品を加えられることをとても嬉しく思います。当社の特殊製品ポートフォリオには、ABS/ESCのピストン、モーターエンドキャップ、ソレノイド、ブレーキブースターセンサー、電動パーキングブレーキのハウジングに向けたアモデル® PPA、ブレーキのピストンとバルブのハウジングに向けたライトン® PPS、電動パーキングブレーキの潤滑剤に向けたフォンブリン® PFPEもラインアップされています。」
ソルベイは、持続可能性に関する取り組みである「Solvay One Planet」の一環として、米国におけるPEEK、PPA、PPS系ポリマーの製造に100%再生可能な電力を活用しています。またソルベイは、米国太陽光エネルギー産業協会による太陽光発電を使用する企業ランキングにおいて、製造企業として唯一、上位10社に入っています。
アモデル®、ライトン®、キータスパイア®、フォンブリン®はソルベイの登録商標です。