2012年7月31日 – SABICのイノベーティブプラスチックス事業は、自動車業界の需要増に応えるため、ベルギー・ゲンク工場のSTAMAX*ガラス長繊維強化ポリプロピレン(LGFPP)複合樹脂の生産能力を大幅に増強することを明らかにした。先月、同社は2013年中旬に稼動予定の新たな生産ラインの増設作業を開始しており、安定した供給体制が確保される。STAMAX LGFPP複合樹脂は、いくつかの特性を組み合わせることで強度に優れ、同時に軽量であるため燃費および排気の減少に貢献する。この軽量化により、他の材料に比べ乗用車やトラックの耐用年数にわたりカーボンおよびエネルギーフットプリントを大幅に向上することができる。ゲンク工場の生産能力拡大は、次世代車の設計・生産に不可欠な高性能かつ持続可能なソリューションを求める世界中の自動車メーカー顧客に対するSABICの真剣な取り組みを示すものである。
今回の発表にあたって、イノベーティブプラスチックス事業の自動車部門でヨーロッパ本部長を務めるレオン・ヤコブス氏は次のように述べている。「ゲンク工場の建設にあたっては、将来的な顧客ニーズを見込んで設備に拡張性を持たせました。STAMAX複合樹脂が様々な自動車部品に応用されるようになり需要が急増したため、2010年の工場設立からわずか2年で最新技術を取り入れた新しい生産ラインが必要になりました。STAMAX複合樹脂は、年々厳しくなる車の設計要件を満たし、全体的なシステムコストを削減すると共に、サステイナビリティの向上に貢献するため、自動車業界の顧客に卓越した価値を提供することができます。この汎用性の高い高品質材料を世界有数のアプリケーション開発サービスと共にお届けすることで、私どもはお客様の製品差別化とビジネスの成功に貢献致します。」
STAMAX複合樹脂は、アメリカ大陸では2011年に建設されたSABICのベイセントルイス工場(米ミシシッピー州)でも生産を行っている。ベイセントルイス工場は、ヨーロッパ最大のPPコンパウンド工場であるゲンク工場のデザインおよび技術を活用して建設されたものである。ゲンク工場内には、コンパウンドイノベーションセンターも設置されている。
低消費エネルギー、低燃料フットプリント
STAMAX複合樹脂はその特性と性能により、他の材料に比べ環境への影響が大幅に改善されている。
例えば、STAMAX複合樹脂は、ポリアミドと鉄鋼のハイブリッド(PAハイブリッド)システムと同じ剛性を備えているが、鉄骨による補強が不要である。その結果、STAMAX複合樹脂は車の軽量化に大きく貢献し、燃費や排ガスの削減が実現する。
大手のサステイナビリティコンサルティング会社、GreenOrder社によって検証済みのSABICのサステイナブル製品スコアカードによると、STAMAX複合樹脂を使用した車のフロントエンドモジュールは、PAハイブリッドと比較して、材料調達から製品寿命の終わりまでの期間でみるとエネルギーフットプリントが44%低い。その最大の理由は車の軽量化効果である。PAハイブリッドソリューションの代わりにSTAMAX樹脂を使って20万個のフロントエンドモジュールを作ると、ヨーロッパの1万4900世帯の一年分のエネルギーを節約することができる。
自動車業界で急速に拡大するSTAMAX複合樹脂のアプリケーション
SABICのSTAMAX LGFPP複合樹脂は、自動車アプリケーションにおいては他の材料と比較して次の利点を備えている。鋼材と比べた場合、SABIC複合樹脂は軽量で錆びず、部品の一体化が可能なため、車の組立工程を合理化することができる。高性能SABIC材料はまた、強度や寸法安定性に優れ、薄肉構造部品での高流動性および卓越した設計柔軟性を提供することができる。さらにSTAMAX複合樹脂は、高い熱変形温度、剛性、低い熱膨張率、低クリープを提供する。
こうした特性により、STAMAX複合樹脂は様々な分野に応用されている。すでに車のフロントエンドモジュールやドアモジュール、シート骨格に幅広く採用されているこの材料は、アンダーフードで高い耐熱特性を必要としない部位にも応用が広まっている。
SABICのSTAMAX LGFPP複合樹脂の詳細に関しては、www.sabic-ip.comをご覧ください。製品に関する技術情報は、www.sabic-ip.com/prtechinquiryまでご連絡ください。
* SABIC Petrochemicals B.V.の商標です。
SABICはSABICホールディングヨーロッパBVの商標です。