2010年11月8日 – SABICイノベーティブプラスチックスは、耐久性や難燃性（FR）に優れる最新のLexan* F6000ポリカーボネート（PC）シートが、ノルウェーのプラスチック加工大手Plexx AS社が手掛ける車両用窓枠材に採用されたと発表した。同素材の熱成形による窓枠の導入はヨーロッパの旅客列車では初の試みであり、ノルウェー国鉄（Norwegian State Railways）の車両に使用される予定である。最新の高機能PC素材に代替することは、従来のシート成形コンポジット（SMC）が必要とする二次加工を簡略化し、大幅な機能の向上やサイクルタイムの短縮に貢献する。SABICイノベーティブプラスチックスは、熱硬化性素材と比較して高機能かつコスト効率の高い優れた最終製品の開発を促進する最先端のソリューションを提供することで、競争の激しい輸送業界の顧客の成功を強力にバックアップする。
Plexx AS社のマネージングディレクタであるアリルド・ジョンソンは、「当社は、SMCからLexan F6000シートにアップグレードするにあたり、窓枠のコスト削減と製品の差別化といった2つの目標を掲げていました。SABICイノベーティブプラスチックスの優れたサポートにより、これらの目標を達成できただけでなく、それ以上の結果を得ることができました。Lexanシートは、SMCに比べ、素早く簡単に加工できるため、設計上の柔軟性も非常に優れています。また、長期間の使用後に外観が劣化しないなど、卓越した耐久性も魅力の一つです。SABICイノベーティブプラスチックスは、市場における差別化を実現する独自製品の開発に適した高機能ポリカーボネートを提供してくれました。そして何よりも、我々のニーズにしっかりと応えてくれたことは言うまでもありません。」と述べた。
色の選択や調色が可能なLexan F6000シートは、熱成形後も美しい色合いや質感を維持し、厳しい使用環境下にある公共鉄道機関において優れた耐久性を発揮する。また、同シートは、1.5mm厚でUL94 V0を取得しており、火炎伝播試験（ASTM E162）や低発煙性試験（ASTM E662）、毒性試験（BSS 7239およびSMP 800 C）といった鉄道車両の防火要件を満たしている。
車両用窓枠材に最適した画期的な新素材
SABICイノベーティブプラスチックスのLexan F6000シートは、従来使用されてきた窓枠材用SMCと比べ、様々なメリットを提供する。第一に、コスト効率に極めて優れており、シートの周囲部分のみを使用した場合でも、中央部分をリサイクルできる。第二に、製造プロセスを簡素化できるため、SMCよりもサイクルタイムを最大80%短縮できる。また、同シートは、材料着色を施すことで塗装や研磨などの二次加工の手間を省けると同時に、接着やその他の手作業が不要な熱成形が可能であり、硬化作業も必要でないため、従来のSMCに必要とされてきた多くの労力を削減できる。
SABICイノベーティブプラスチックスのスペシャリティフィルム&シート部門のグローバルマーケティングディレクターであるレンナード・マーケスタインは、「Lexan F6000シートは、卓越した難燃性や耐衝撃性、美観を提供することから、航空業界において既に幅広く採用されています。同シートは、これらの特徴に加え、優れたコスト効率やサイクルタイムの短縮といった特徴もあるため、多大な労働力を必要とするSMCに代わる理想的な製品です。今回のPlexx社とのコラボレーションは、当社の最新素材技術を通して、顧客の既存市場における優位性を高めることに貢献することを実証してくれました。」と述べた。
Lexan F6000シートは、SMCに比べ、塗装や硬化工程で発生する揮発性有機化合物（VOC）が少ないため、環境面でも優れている。さらに、同シートは、SMCに比べ、約30%もの軽量化が可能なため、樹脂製の車両用窓枠材の導入は、燃費の節約にも繋がる。
この不透明PCシートは、磨耗や指紋付着による外観の損傷を防ぐ特殊な耐久性のあるテクスチャが施されてあり、厳しい使用環境下においても美しい外観を損なわない。SABICイノベーティブプラスチックスは、ColorXpressサービスを通して、ノルウェー国鉄のブランドカラーと全く同じのエンジ色を再現したため、色の統一感も維持されている。また、同素材の難燃性をノルウェーのFST（難燃、発煙、毒性）規制要件に準拠させるため、カスタマイズしている。
SABICイノベーティブプラスチックスのLexan F6000シートの詳細については、www.sabic-ip.comへアクセスして下さい。
* SABIC Innovative Plastics IP BVの商標です。