ジョージア州アルファレッタ、2016年11月17日 – 特殊ポリマーの世界的サプライヤーであるソルベイは、高機能ライトン® ポリフェニレンスルフィド(PPS)がPolimotor 2エンジンのウォーターポンプの中核部に採用されると発表しました。KSPG社の製造するPierburg CWA 400電子ポンプのインペラーとステーターアイソレーターは、ライトン® R-4 PPSの射出成形により作られています。ライトン® R-4 PPSは40%ガラス繊維強化PPSコンパウンドで、卓越した耐薬品性、低吸湿性、高温での優れた寸法安定性を備えています。自動車分野の伝説的イノベーターであるMatti Holtzberg氏の率いるPolimotor 2プロジェクトは、自動車レースの2016年シーズンに向けて、次世代型のオールプラスチック製エンジンを設計し製造することを目指しています。ソルベイは、大きな期待の集まるPolimotor 2技術プロジェクトの主要スポンサーとして製品を提供しています。
「KSPGの電子制御ポンプは、エンジンから独立して動作し、必要なときだけ冷却します。これにより、Polimotor 2を象徴する目標である、燃料消費量と排ガス量が減少します。」とHoltzberg氏は述べています。Holtzberg氏は、フロリダ州ウェストパームビーチに拠点を置くComposite Castings社のPresidentでもあります。「一方、過酷なレース条件下でのポンプの信頼性も、材料を選択する際の重要な要素でした。このポンプの中核を担うライトン® PPSポリマーは、市場向け自動車の用途で一貫して優れた性能を維持することが実証されています。」
ブラシレスDCモーターコンセプトをもとに設計されたPierburg CWA 400ポンプは、動的なシーリング要素やブラシのないことが求められます。この設計により、摩耗を懸念することなく、800 mbarを超える背圧で1時間あたり9,000リットルを超える流量を確実に提供することが可能になります。このポンプのインペラーの製造にあたっては、-40°C~130°Cまでの温度範囲に耐えられる材料が必要でした。ときに185°Cに達する温度条件下で動作するステーターアイソレーターでは、熱安定性の要件はさらに厳しくなります。
ライトン® R-4 PPSは、最高220°Cまでの温度で信頼性の高い長期的性能を発揮し、一時的には265°Cのピーク温度にも耐えられます。ソルベイのPPSコンパウンドは、高圧のレース条件下で効率的かつ信頼性の高いポンプ動作を確保するのに必要な寸法安定性に加え、優れた耐薬品性と耐熱性も備えています。こうした特性は、エンジンクーラントと頻繁に接触する自動車の熱制御システムでの使用に適しています。金属製ポンプ部品に匹敵する性能を実現できるライトン® R-4 PPSは、軽量な代替製品となるほか、騒音や振動、ハーシュネスの低減という効果も得られます。
「CO2 排出量を継続的に低減するために、自動車OEM各社は、より効率の高い電子制御式のウォーターポンプやオイルポンプ、真空ポンプを選択するケースが増えています。」とGlobal Automotive Business Development Manager for Solvay’s Specialty Polymers global business unitであるBrian Baleno氏は述べています。「特殊ポリマー業界のリーダーであるソルベイは、最新設計で信頼性と耐久性の向上を目指すポンプ設計者に、軽量化ソリューションのための幅広いポートフォリオを提供しています。」
Polimotor 2プロジェクトは、現在製造されている標準的なエンジンよりも約41 kg軽い、63~67 kgのオールプラスチック製DOHC4気筒エンジンの開発を目指しています。このHoltzberg氏の画期的なプロジェクトでは、ソルベイの高度なポリマー技術を活用したエンジン部品を10種類ほど開発する予定です。カムスプロケット、燃料システム部品、Oリング、水冷装置、スロットルボディ部品、その他の高機能部品などの開発が予定されています。使用される予定のソルベイ製品としては、ライトン® PPSのほか、アモデル® ポリフタルアミド(PPA)、アバスパイア® ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、キータスパイア® ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、レーデル® ポリフェニルサルホン(PPSU)、トーロン® ポリアミドイミド(PAI)、テクノフロン® フルオロエラストマー(FKM)などの製品群があります。
® ライトン、アモデル、アバスパイア、キータスパイア、レーデル、トーロン、テクノフロンは、ソルベイの登録商標です。