ステーションを組み合わせれば圧着・ハンダまで
東京 – 2015年1月9日 – 電線加工機メーカーのシュロニガージャパン株式会社(代表取締役:木鎌三千雄、所在地:東京都大田区、本社:スイス)は、スマートホンや携帯ゲーム機などで利用が拡大する外径1mm以下の極細同軸ケーブルの、測長・切断・ストリップ(皮むき)および品質検査、端末処理までを高速全自動で行える業界初の加工装置「CoaxCenter 6000(コアックス・センター)」を開発し、販売を開始した。同社は、2015年1月14日から東京ビッグサイトで開催の「インターネプコンジャパン」に出展し、同製品の展示紹介を行うと共に日本国内での販売を加速する。
同軸ケーブルは電気信号が流れる芯線を中心として、一般的に周囲を樹脂製の絶縁体(誘電体)、金属を網目状に編み込んだ外部導体、樹脂製の保護被覆(ジャケット)、で覆った多層構造の電線である。実際の電気製品においては、末端に端子を取り付けたハーネス製品として利用され、ハーネスの加工には、ケーブルの測長・切断・ストリップ工程などが必要になる。これまでは各工程それぞれに特化した装置を、作業者が順番に操作して製造していた。
シュロニガーが開発したCoaxCenter 6000は、リールに巻かれた状態の極細同軸ケーブルを引き出し、所定の長さに計測する「測長」工程、計測した長さに切り揃える「切断」工程、末端のジャケットと誘電体および外部導体を所定寸法で剥離し芯線を露出させる「ストリップ」工程に加えて、ストリップ後のケーブル両端を検査する「品質検査」工程までを全自動で処理する。また、追加工程としてケーブル末端に端子(コネクタ)を取り付ける「圧着ステーション」装置を組み合わせることができるため、極細同軸ケーブルの測長から端子の取り付けまでを全自動化することも容易である。CoaxCenter 6000は、被覆材を含めた外径6.5mm以下の同軸ケーブルの加工用に開発されたもので、1時間当たり約1,300本のケーブルを加工できる。
シュロニガージャパンの木鎌社長は、「これまで、撚り線を用いた一般電線向けの高速全自動加工装置は一般的に利用されてきましたが、極細同軸ケーブルに対応した装置としてはCoaxCenter 6000が業界初となります。」としており、加えて「作業者が個々の装置を操作して加工する場合、ストリップ加工後の処理状態をルーペないしはマイクロスコープで1本ずつ目視確認することになります。ケーブルが太ければ目視での確認も可能ですが、径が細くなるほど不良の検知が困難になり、不良発生のリスクが増加しておりました。」と話している。
CoaxCenter 6000は、細いものでは米国ワイヤゲージ規格AWG38(外径0.12mm)程度の導線を芯線に用いた極細同軸ケーブルまでをも加工対象としている。AWG38を用いた同軸ケーブルの場合、被覆材を含めたケーブル外径は約0.6mmであり、こうした極細同軸ケーブルの用途としては小型薄型化が進むスマートホン、タブレット端末やゲーム機器といった電子機器があげられる。これらの用途に向けて極細ハーネスを製造するメーカーのほか、コネクタメーカーやワイヤーメーカーがCoaxCenter 6000の需要分野となる。
標準構成のCoaxCenter 6000には、測長、切断、搬送機能に加え、ケーブルをストリップするロータリーユニット2台と画像検査装置2台が含まれている。CoaxCenter 6000の価格は基本構成で1,200万円、端末処理を追加した拡張構成で1,500万円程度、発売初年度の販売目標は20台(日本国内)を見込んでいる。