手作業工程の機械化によって、作業時間を約1/10に短縮
東京 – 2016年1月8日 – 電線加工機メーカーのシュロニガージャパン株式会社(代表取締役:木鎌三千雄、所在地:東京都稲城市、本社:スイス)は、産業用ロボットや各種産業機械で制御信号の伝送に利用される多芯シールドケーブルに関して、これまで手作業していた加工工程を機械化し作業時間を約1/10に短縮する業界初の加工装置「ShieldCut 8100(シールドカット)」を開発した。同社は2016年1月13日から東京ビッグサイトで開催の「インターネプコンジャパン」において同製品を展示紹介し、日本国内での販売を開始する。
このたびシュロニガーが開発したShieldCut 8100は、複数層で構成される多芯シールドケーブル中央部のコア電線を傷つけることなく、シールド(外部導体)部分のみを高精度に切断可能なシールドカッターである。外径の異なる多品種の多芯シールドケーブルを1台で加工可能な装置としては業界初の製品となる。これまで多品種のケーブル加工に対応したシールドカッターが開発されてこなかったため、ほとんどの電線加工メーカーは同工程について工具を用いた手作業に頼っていた。
ShieldCut 8100は、被覆材を含めたケーブル外径2.0mm~9.0mm、シールド切断長10mm~120mmのケーブル加工に利用可能で、1本あたり5秒程度で処理できる。また被覆材の厚さや切断長などケーブルにより異なる切断寸法のパラメータを最大1,000件までメモリ保存可能で、個々の作業プログラムを本体カラータッチスクリーンから選択する直感的な操作性を実現している。これまでの手作業を機械化することで、作業時間を1 / 10程度まで短縮(被加工ケーブルに依存する場合有)できる。またShieldCut 8100はサイズが奥600mm x 幅220mm x 高360mm、重量約18kgという小型の卓上加工機であるため、組立ラインの変更が必要な際も容易に移動できる。
ShieldCut 8100の加工対象である多芯シールドケーブルは、樹脂製の絶縁体で被覆された複数本のコア電線を、金属で編んだシールドおよび樹脂製の保護被覆で覆った多層構造の電線である。主に制御信号の伝送に用いられ、産業用ロボットや各種産業機械、車載電気システムなどに多用されており、信号伝送時の誤作動や故障を防ぐため、保護被覆の下層に金属製シールドを組み込むことで外部からの電磁波ノイズを遮蔽する構造がとれられている。
当該ケーブルの加工には、保護被覆およびシールド部分を切除し内部のコア電線を露出させるシールドカット工程が必要となるが、その種類は多岐に渡ることから、多品種少量のケーブルをそれぞれ手加工している。本加工工程でコア電線の被覆を傷つけてしまうと、絶縁抵抗の低下、電流の漏えいや火災事故の原因となるため高速高精度な自動切断加工技術が求められている。
シュロニガージャパンの木鎌社長は、「このたび開発したShieldCut 8100は、これまで手作業に頼っていたシールドカット工程の機械化を実現する業界初の製品です。これまで作業者がニッパ等を使って1本ずつ切除処理していた作業工程を機械化することで、作業時間を短縮できると共に、加工品質の安定化を実現します。」としている。また「これまでに特定のケーブルを大量加工する用途では、電線加工メーカーが独自に装置を内作して利用するケースもありましたが、こうした専用機は高コストでメンテナンスが難しく、多品種には対応できませんでした。」と話している。
ShieldCut 8100は大型7インチのカラータッチスクリーンを搭載した小型の卓上加工機で、最大1,000件の作業プログラムを本体内にメモリ保存できる。ShieldCut 8100の参考価格は220万円、発売初年度の販売目標は50台(日本国内)を見込んでいる。