高速な自動生産プロセスに対応
VICTREX® PEEK™樹脂によるプリプレグを用いたスイスSuprem社のコンポジット
2011年6月20日 – VICTREX® PEEK™樹脂およびVICOTE®コーティング（ヴァイコート）、APTIV®フィルム（アプティブ）をはじめとした高機能性材料を販売するビクトレックスジャパン株式会社（社長：アンドリュー・ストーム、本社：東京都港区）は、スイスのプリプレグ・メーカーであるSuprem（スープレム）社がプリプレグ事業で年率50%以上の成長を記録、その成長にVICTREX® PEEK™樹脂が大きく貢献していることを明らかにした。
プリプレグは炭素やガラス、アラミドといった連続繊維に樹脂材料（マトリックス材料）を含浸させて製造される高耐熱、高強度で軽量な複合材料（コンポジット）であり、Suprem社は独自の含浸法を駆使することで、多種多様なプリプレグ・UDテープ（一方向テープ：Uni-Directional tape）の迅速かつ柔軟な生産を可能にしている。同社のプリプレグは製品成形に利用される自動加工装置に最適化されており、これは航空宇宙や各種産業用途のコンポジット製品において、コスト効率良く大量生産するための重要な要件となっている。
Suprem社は様々な優れた特性と高速な自動加工装置に適した性能を持つVICTREX PEEKを使用することで、加工装置メーカーのニーズに対応すると共に、厳密な公差の部品を製作できる高品質なプリプレグを開発し、高速な自動生産プロセスに適したパッケージで市場供給している。同社はテープの繊維配向によって複数の製品を開発しており、加えてエネルギー吸収性の向上に向けて表面品質を調整している。同社製品の高い設計自由度は軽量化と部品コスト低減化に寄与する。
Suprem社のCEOであるハンスユルク・ガイシンは「VICTREX PEEKの優れた熱安定性と品質の一貫性により、UDテープの含浸プロセスにおける厳格な工程管理が可能となり、要求されている加工性と長期的な性能を達成することができました。」としており、加えて「近年、自動化プロセスと新たな製品の技術革新やアプリケーション設計の進展によって、当社プリプレグ製品の需要は増加しています。昨年度、当社は石油掘削、発電装置、プラントエンジニアリング、医療産業におけるアプリケーションの需要増によって年間成長率50%超を記録しました。また当社のプリプレグ製品55% IM7/PEEK-150は、2010年8月にエアバス社よりIPS（個別製品規格：Individual Product Specification）を受けました。」と話している。
VICTREX PEEKのパウダーおよびペレット製品は、強化繊維および繊維／マトリックス界面への含浸性に優れることから、1990年代より熱可塑性プリプレグの製造におけるマトリックス材料として使用されている。これらビクトレックス製品はリサイクルが可能で、オートクレーブでは無くサーモフォーミング技術を使用して加工するためコスト効率に優れている。また金属と比べ大幅な軽量化が可能となる上、複雑形状の部品が製造可能なことから優れた設計自由度を提供し、複数部品の統合化に貢献する。ビクトレックス製品は長期保管が可能で、厳格な性能要件を満たし安全および環境に関する規制に準拠している。
Suprem社は市場の需要増加と成長に対応するため、ビクトレックス社のポリアリルエーテルケトンに関する専門知識と豊富な製品群を活用し、引き続きアプリケーション開発を推進していく方針である。今後の利用が検討されるビクトレックス製品としては、エレクトロニクス業界のアプリケーションで求められる高温環境に適応可能なVICTREX® HT™樹脂や、低粘度なため機械特性の向上に向けてファイバ充填量を高めることができ、軽量で耐久性に優れるコンポーネントが製造可能なVICTREX® PEEK™ 90グレードが挙げられる。また粘度が低いことで、繊維の配置やフィラメント巻き取り工程の速度を高められるため、生産性の向上および部品コストの低減にも貢献する。
長繊維を高充填（> 60%重量）したVICTREX PEEK複合材料やコンパウンドは多くの樹脂材料よりも強度、剛性、寸法安定性、耐衝撃性に優れることから、高強度で高耐久性が求められる部品の成形に最適で、製品寿命の延長やメンテナンスコストの低減に貢献する。
Suprem社について：
スイスに本拠を置くSuprem社は、Suprem™ T（プリプレグ・テープ）、Suprem™ R（引抜ロッド）、Suprem™ C（成形用コンパウンド）といった製品で知られる、欧州におけるプリプレグの大手メーカーである。同社の製品はISO 9001およびISO 13485で品質管理されている。
www.suprem.ch